ふつう
小さい頃から病院の待合室で、
少し背をしゃんとする自分がいた。
たぶん、ぐったりしていたり、ぐずったりする子どもを見て、子どもながらに「私は違うの」という妙なプライドがあったのだ。
昔から妙に鼻が高くなるところは変わらないもので。
休職中のため、折々心療内科に通っている。(そうそう、そういうアレで私はお休みしているのだけど、それはおいおい)
いわゆる心を患っている人って
「友達の友達」くらいがたぶん一番多い。
必ず居るのに、なかなか当事者に会うことはない。
だからこそ、待合室の人の多さと「普通さ」に驚いた。
心療内科のイメージって、
突然暴れ出す人や、しくしく泣いている人ばかりと思われがちだ。
でもここにいる人たちはマスクをしているわけでも、足を引きずっているわけでもない。
みんな「普通」に見えるけど、病んで、いる。
みんな泣いたりぐずったりするわけでもない。
背中に入る力が、少し抜けた。
病院を出て、スーパーで安売りの干物を買った。
「冷凍して、今度食べよう」。
今度が私には見えている。
病んでいるけど、私はまだ、大丈夫だ。